月面写真について
 鮒釣りではありませんが、天体写真は「月に始まり月に終わる」というくらい手軽な撮影なのですが、実際には奥が深いです。地球には大気が流れ、コイツが撮影の邪魔をします。デジタル撮影以前の月面写真は、たいへん難しいものでした。焦点距離の確保から、現像、プリント時の覆い焼き作業など、今ではノスタルジーな世界です。
 確かにデジタルになったからといって、簡単になったとは言い切れないところがあります。
 例えば超望遠レンズや純製テレコンを使用して、焦点距離を確保したとしても、大して綺麗には映りません。フツーのプロ写真家が写真レンズで撮影したとしても、私が見れば笑ってしまう出来の悪い月面写真がFacebookで見受けられ、その「実」を知らない人々が感心しあっています(何なんだ?このインキュベーションの世界は!)。

 月面は「天体望遠鏡で撮影するもの」です。何故ならば、無限遠の距離に特化した設計思想だからです。たかが何十メートル先の映像を撮影するのではありません。宇宙を相手にするのです。私が意識している月面写真は、昔の天文の書籍で見る覆い焼きを施して硬調の印画紙で仕上げた科学写真です。ですから月の山地を白く飛ばさない処理をかけます。

 もっとも印象的に映る月は、上弦の月と下弦の月です。つまり半月です。太陽光線が横から当たる状態なので、欠け際からしばらくの領域は、月面の凹凸を表現しやすくなります。
 この半月を撮影するのに焦点距離を3000ミリ相当(フルサイズ換算)にセットしています。露出はスポット測光でオート露出でだいたい適正露出になります。

 そして気流の状態をモロに受けます。日本はジェット気流下に位置しますので、月面撮影にはあまり向いていません。アテネ、イスタンブル、デュッセルドルフの3都市で比べますと、夏期のアテネが最高に良い状態になります。
【 下弦の月 】
下の満月と比べてください。横から太陽光線があたっている時こそ、面白いことがわかります。

【 使用機材 】
・PENTAX 75SDHF(fl=500mm)
・TeleVue x4 Powermate
・タカハシ P-2Z
・キャノン EOS 6D
・Fujifilm  X Pro1
*ISO感度は低め(ISO50-200くらい)

私は取り回しの良い小型望遠鏡を使用していますが、現行品の望遠鏡や赤道儀は使用していません。個人的にはスイス製AOKのシーフシュピーグラーを使ってみたいですが、そこまで投資する気もありません。これでは販売店をはじめとする天文業界にも貢献していませんね。
【 満月について 】
満月の天体写真は面白く無いです。よく見えるのは月の周縁部だけです。写真のライティングと同じ原理です。正面照射の単純なフラッシュと同じで影が消えるので月の中央部はのっぺりとしてしまうのです。
【 上弦の月 】
以上はイスタンブル(トルコ)で撮影

■ デュッセルドルフでの月面
デュッセルドルフはファッションとアートの街。
EUアートに触れ、色に対する感覚が変化した私は、先ず一般写真から色に対する変化を反映させ始めました。その方法と手段を書くことはありませんが、過去作品と比べて色の扱いが完全に変化してしまいました。
一般写真によるボトムアップを終え、天体写真もアートさせることにしました。
2014年8月10日の「エキストラ・スーパームーン」
デュッセルドルフは北緯51度に位置しています。
月の南中高度が低い時は条件は悪くなりますが、大陸の安定した気流に包まれる時、素晴らしい月面撮影が可能になります。
思い出せばシューフシュピーゲルのような特殊な長焦点望遠鏡が誕生するのも、この安定した気流によるものでしょう。日本では考えられないくらい大気が安定しています。


左は階調を反転しています。カーソルを重ねると反転します。

大昔、TP2415フィルムでPOTA現像液を使用して20度15分現像の世界を思い出しました。
上弦の月

通常は月の影になった輪郭は表現しないんだけれど、ヤっちゃった。3秒露光で月の形を画像にして、1/4秒で撮影した月面を刷り込んでいる。それに加色処理を施しているのだが、何が違うのかは「玄人」しかわからないだろう。
白黒も捨てがたいよね。
■2017年のリハビリ
よる年波か、満月の周りに色々な色が見えるようになった。だから、こんな表現をするようになった。
リハビリでは満月と流れる月の位置関係に注意した。どんな雲の状態の時、どんなデータで撮影するか、という確認です。

■32年ぶりの月面拡大写真
 居場所が少し落ち着き、ベランダから北極星が見えたのでミューロン180Cを購入し、惑星を見ていた。QHYで惑星と月面を撮影したが、悲劇的なくらい酷い画像であったので、しばらく放置した。ASIでも試してみて、QHYよりは遥かに良かったが、高輝度域の表現が酷かったので、あまり使う気にならない。波長を選別して白黒で撮影すれば良いのだが、白黒では金にならない。EOS6Dで昔からの撮影で充分な気になっている。気流が安定した晩になった時、「ASIでいくか、6Dでいくか」、初めてまじめに判断したいと思う。6DでHDビデオ撮影してもASI178MCよりも画素が小さいので、処理過程(ファイル変換ソフト、PIPP、AS3、Registack6、フォトショまでの流れ作業)の確認と、遊びくらいにしかならない。
で、いきなり彗星帝国下部を思い出しますが、、、、